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「ねえ猿野くん。」
オレはアンタのこと嫌いじゃなかった。
「ドライブに行こうか?」
アンタのこと結構好きだった。
「一緒に。」
でも。
「さ、行こう。」
でも、アンタは。
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「ん…むっ…。」
「そう…上手だよ…。」
昼日中の公園の一角で行われていたのは、日常とかけ離れた行為。
人が通れば、いやおうなく目に入る場所。
そんな場所で少年は男のモノを強制的に貪らされていた。
少年の名は猿野天国。十二支高校野球部に所属する高校生だった。
彼は県対抗選抜大会の埼玉県選抜チームの監督、白雪静山にこの行為を強いられている。
自分でも何をしているのかわからなくなりそうだった。
こんな真昼の光が当たる場所で。
男のモノを口に含み、昂ぶらせている。
恥ずかしくて意識を何度も飛ばしてしまいたくなる。
だが、そのたびに。
「ダメだよ。もっと口全体使わなきゃ。」
「うぐっ…!」
目の前の男が意識を現実に戻させる。
辱められているという現実を。
「う…んぅ・・・。」
先を舐めて、口に含んで昂ぶらせて。
何をやっているのだろう自分は。
初めてなわけでは別になかったけど。
だけどこんなところで、しかも知っている人間にこんなことをしてるなんて。
させられているなんて。
また意識が飛びそうになる。
その時。
「…出すよ…っ…!」
「!!」
(イヤだ。)
突然の予告に咄嗟に口を離そうとした。
だが、その暇も与えてはくれなかった。
予告してからすぐに、目の前の男は達した。
「んぅーーーーーっ!!」
「…ふっ…。」
苦い
熱い
汚い
多量の精液が天国の口腔を拡がり、犯した。
天国はすぐに吐き出したかったが。
白雪は口から外さないように天国の頭を押さえつけると。
何でもないかのように言った。
「飲んで?」
「!」
(嫌だ!!)
首をかすかに振ろうとして拒否の意を見せる天国に。
白雪は冷えた声で言った。
「飲まなきゃダメ。」
(いや…。)
「飲まないなら。」
(…!)
「みんな を ここ に 呼ぶ よ 」
ごくり。
#######
「起きた?」
「……。」
天国は目を覚ますと、白雪の顔も見ずに身体を起こした。
すでに日は暮れている。
「君が寝ている間に随分携帯が鳴ったよ。
…君は人気者だね。」
天国は答えなかった。
もくもくと衣服を整える。
「…行くの?」
服を着終わると、天国は何も言わずに公園の出口へと向かう。
「送るよ。」
「…結構です。」
それだけ言うと。
天国は振り向きもせずに公園を後にした。
白雪が呟いた言葉など耳にも入らずに。
「……だ、よ…。」
白雪は天国の姿が見えなくなると内ポケットに手をいれ、一枚の写真を手にした。
そこには今よりも少しだけ幼い中学生の頃の天国。
白雪が数年前に一夜だけ買った少年。
それから一日も忘れられなかった少年だった。
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『あの頃逃げてたんだ。現実から。』
[君が何かから逃げてきたのはあの日にすぐ分かった。]
『だから誰かに一緒にいて欲しかった。』
[君はあいつに似た顔でそんなことをしてたから 僕は声をかけた。]
『あの頃は酷い顔してただろうなって思う。』
[人の虚ろな顔は嫌いだったんだ。]
『だから色んな奴に抱かれた。』
[だから君を抱いた。]
『でも一回すごく優しく抱いてくれた人がいたんだ。』
[だけどあの時の君は本当に綺麗に見えた。]
『その人に会ってからもうそんなことするのは止めた。』
[それから後は男は勿論女のコともセックスはしなくなった。]
『あの人が止めろって言ったから。』
[君が忘れられなくなったから]
『だからもう一回会った時に今は大丈夫だからって頑張ってる自分を見せた。』
[だけどもう一度会った君はとても前向きに綺麗になっていた。]
『それでいいはずだった。』
[それが何より望むべきことだったはずなのに。]
『アンタは』
[僕は]
『結構好きだったのに』
[笑って欲しかったはずなのに]
あの時を戻そうとした。
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『好き「でした」よ セイザンさん。』
[好き「だった」よ テンゴクくん。]
今は?
「あなたが嫌いです。白雪監督。」
「君を愛してるよ。猿野くん。」
ねえ 僕があの日の君を好きにならなかったら。
今君は僕を好きでいてくれたのかな。
全てはもう 過去の話。
end
またも裏にUPです。
先ほど雪猿祭様に投稿させていただきました。こちらにも早々にUP。すみません。
さて今回は表の小説「コドモな君とオトナな僕」と同じく雪猿祭様でのお絵チャ会ログが元になっています。
文章と違いかなり美味しいログですのでご覧になってない方は一見の価値有りですよ!
ログは雪猿祭様にて掲載されています。
1枚目のログの中央の、砂様とちとせ蜂子様のイラストが今回の話の元です。
お二人とも、勝手なことして申し訳ありませんでした!
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